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B A C K    T O P    N E X T                                        

  サクラの話    



「 俺が蝶のあとを追わなかったのは。 」



砂鳥。
・・・さとり。
俺は一度もお前に、「お話をして」を言われたことがない。
だが、今日は勝手に話そう。
胡蝶の話だ。
お前の、話だ。
砂鳥という名は彼女が付けた。
『砂の鳥、と書いて、さとり。儚いけれど、水を与え続ければ、いつまでもそこに居られるでしょう?』
本気なのか冗談なのか解らない口調で、そう言っていた。本当にそれが理由なのかは、わからない。彼女が、何を思って、お前にそう名付けたのか。その由来を知るものは、居ない。
誰にも教えないまま、彼女は逝ってしまった。
だがな、あいつが今日、俺に言ったんだ。

『もしかしたら、だからこそトリさんは「お話して」と言うのでしょうか。 話という名の水を求め続けるのでしょうか。だって、それが与えられている間は、誰かが彼女を見ているでしょう。』

だとしたら。
なぁ、さとり。俺は・・・俺の話は、お前に届いただろうか。
届いて、くれただろうか。

























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